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落日の宴

江戸の賄賂 

日本軍の小失敗の研究

改善のススメ

レイテ沖海戦

死の病原体プリオン

日本海軍失敗の研究

日本の敗因 

金持ち父さん貧乏父さん

沈黙が日本を亡ぼす

海軍参謀

戦艦武蔵ノート

山口 多聞 

なぜ日本の経営はダメなのか

会議の技法

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島の墓標 私の「戦艦大和」

戦艦武蔵の最期

新リーダの研究

私の喧嘩作法

田中角栄の「逃税学」

日暮硯 言志四録 嫌な奴とつき合いなさい 「貞観政要」の政治学
小説 後藤新平      

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パソコン「超」仕事術  野口 悠紀雄 著

パソコンは仕事の効率化のための道具だ。仕事に活用できなければ意味がない!

文書の書き方、電子メールの使い方、データベースを活かした情報収集法からパソコンならではのアイディア発想法、「超」整理法まで、パソコン攻略のノウハウを公開。

野口悠紀雄氏のホームページ

 

落日の宴

開国を迫るロシア使節プチャーチンに一歩もひるむことなく幕末の日本を守った男がいた。軽輩の身から勘定奉行にまで登りつめ、自らを厳しく律して日露和親条約を締結する。軍事・経済・外交のいずれも劣る我が国を聡明さと誠実さで激動の時代から救った誇り高き幕吏の豊かな人間性を鮮やかに描く歴史長編。(表紙カバーより)

P417からの抜粋 

人との議論におよんで、相手の意見に反論する時は、つとめておだやかな言葉を使い、決して憎しみをいだいてはならない。相手が道理に反したことを口にしても、それが職務をそこなうものでないなら、少しも心にとどめてはならない。・・・中略・・・

職務について合議することも多い。そのような折りには、多くの者の発言にもたれかかる気持ちになりがちだが、それはもってのほかである。まず、確固とした自分の意見をもち、その上で多くの者の意見をきくべきで、いたずらに衆議に身をまかせすことは決してしてはならぬ。ただし、いったん衆議にしたがった上は、自分の意見は忘れ、それに固執すべきではない。

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失敗学のすすめ  (抜粋) 

  畑村 洋太郎 著   講談社 1,600円

 (抜粋掲載にあたり2001年1月17日付けで許諾を頂いております)

プロローグ 失敗に学ぶ

人は行動しなければ何も起こりません。世の中には失敗を恐れるあまり、何ひとつアクションを起こさない慎重な人もいます。それでは失敗を避けることはできますが、その代わりに、その人は何もできないし、何も得ることができません。

 

第一章 失敗とは何か

失敗とは「人間が関わって行うひとつの行為が、はじめに定めた目的を達成できないこと」

第二章 失敗の種類と特徴

人間の成長は、失敗なしに語ることはできません。成長の陰には必ず小さな失敗経験があり、これを繰り返しながらひとつひとつの経験を知識として自分のものとしていきます。さらに小さな失敗から得た知識が次の大きな失敗を起こさないための軌道修正の働きをし、さらには次の成功へと転化していきます。

人が成長する上で、必ず経験しなければならない失敗があるのです。これが「よい失敗」で、別の言葉を使えば、「必要な失敗」といえます。そして、「よい失敗」「必要な失敗」は、成長や発展を促すためにもどんどん経験すべきなのです。

第三章 失敗情報の伝わり方・伝え方

失敗情報は時間の経過やいくつかの経路を通るうちに急激に衰減する傾向があるというものです。

第四章 全体を理解する

本当のベテランは、自分の関わるものごとを真に理解している人といいかえられます。こういう本当のプロと呼ばれる人の仕事には、どんな世界でも深い理解に基づいた緻密さを感じることができます。

何も考えてこなかった人が、突発的な事態が起こったときに、突然頭がよくなり、これにうまく対応できるなどということは、残念ながら絶対にあり得ない話です。徹底的にものごとを考えつくしている人がいて、予期せぬことといわれているものが、じつは予期していたことに近いものだったときにうまく対応できるというのが真実です。

第五章 失敗こそが創造を生む

それが商品開発であれ、イベントや営業企画、あるいは映画や小説などの作品づくりであれ、いいものを創造する上で重要なことは、アイデアの種をつなげて生み出したものが本当にそれでいいのか何度も検討し直すことです。

教授と助教授、あるいは教授と学生というように、上下関係がはっきりしている大学内の人間関係には、ともすれば上の者がいったことはそのまま通ってしまい、真のブラッシュアップ(みがきをかけること)ができなくなり、組織の硬直化が起こりやすいという欠点があります。これを避けるためにはグループ内での徹底的な批判が大切です。

創造に携わる人は自分が身を置くせまい世界に留まらず、より大きな視点から自分のなすべきことを考え、そこから生じる、考えられるだけの悪影響を排除する配慮が求められます。

第六章 失敗を立体的にとらえる

人が失敗に直面したとき、これを隠そうとする心理が働くのが常で、同時に、自責の念にかられて、必要以上に自分を責めるという傾向も見られます。

失敗が起こったとき、まわりは失敗者を単に批判する対応をとりがちですが、失敗にいたった背景に、当事者のこうした心理状態があることを理解しなければ失敗を正しく扱うことはできません。失敗者の心理を知ることは、致命的な失敗を起こさせない対策を考える上でも重要なことです。

未知への遭遇を原因とする「よい失敗」は、いくら注意を払ってもさけられないものです。こういうケースまで厳しく責任が追及されるようでは、社会の中で失敗はなおされ忌み嫌われ、ときに隠され、隠蔽されることにもなりません。その結果、社会の発展は停止してしまいます。これでは「失敗学」で主張するような、失敗を生かすポジティブな文化を築くことなどできません。

第七章 致命的な失敗をなくす

生産体制に余裕があるならともかく、厳しい生産目標を課されている状態では、生産現場であたえられたマニュアルが必ずしも順守されているとはかぎりません。関係者が意図して手抜きを行うことまではないにしても、生産目標のしわ寄せから、望まずともつい保守点検がおろそかになるというのは、じつは世の中にはよくあることなのです。

こんなとき、管理者の見たくない、見えない影の部分で、とかく倍々ゲームのように失敗の種が急成長を遂げているのは、想像に難くありません。すなわち、この種の失敗は、本来は容易に予測できるものなのです。

単純な理由で致命的な失敗がおこる原因

@技術が成熟していること

A大増産、もしくはコストダウン対策やリストラ策がはかられているところ

 

あなたが上司を持つ人ならば、致命的な失敗を身のまわりで起こさせないためには、上司の力量を見極めておく必要があります。その人がいわゆるダメ上司かどうかを判断し、問題ありの場合は、いざというときに直訴できる別の管理者を見つけておく必要があります。

 

会議の場での議論で重要な決定がなされることは、現実にはほとんどありません。むしろ審議をして決めたという既成事実づくりが目的で、これを盾に反対者の口封じを行ったり、失敗時の責任回避のための予防線にされているのが実態です。

第八章 失敗を生かすシステムづくり

失敗を忌み嫌う風潮をあらため、これと上手につき合うには、一個人や一組織の努力だけではなく、社会として失敗と積極的に向き合うシステムを確立する必要があります。

エピローグ 失敗を肯定しよう

失敗はいくら何重に防止策を講じたところで必ず起こります。人の活動に失敗はつきものだからで、人が活動をやめないかぎり、人は失敗とつき合い続けていかなければなりません。とくに新しい技術を開発したり、未知の世界へ突入したときなど、失敗は当たり前のように私たちの目の前に姿を現します。

・・・中略・・・

そして、真の創造は、起こって当たり前の失敗からスタートするということを私たちは決して忘れないようにしたしものです。

 

畑村教授のホームページ

 

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なぜ日本の経営はダメなのか

株主重視経営で勝ち残れ    津森 信也 著  東洋経済新報社 刊 (01.05.05)

P189から 「品性がある利益を計上するということを忘れた時、企業は崩壊の淵に立たされることになる」

 

帯より

「もうかりさえすればいい」から「品性ある利益へ」へ舵をとれ

なぜオーナー企業は強いのか/株式持合いは本当に金を出した株主を食い物にするシステムだ/終身雇用は目的ではない。結果だ/株主重視経営が従業員をしあわせにする/企業理念を重視せよ/絶対的権力は腐敗する/従業員重視経営は私有財産の侵害だ/株主重視でこそ企業は生き残れる

 

序 章 日本的経営とは

第一章 なぜ日本的経営は成功し、崩壊したのか

第二章 なぜ多くの日本企業はうまくいかなくなったのか 

P73 最重要事項は、「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する」という、・・・中略・・・ この言葉である。

人間には絶対的権力を与えてはならない。立法、行政、司法という三権の分立も英国の知恵である。誰かに絶対的権力を与えるようなことはしてはならないという知恵である。

日本の政治システムもこれこれを拝借し、建前上は絶対的権力者はいないことになっている。しかし、実態は政官財の鉄のトライアングルが完成しお互いの権力を維持できる仕組みになっている。その中で政治家の絶対的権力に対しては選挙という牽制機能があり、選挙に落ちればただの人である。だからこそ、最も人気を取りやすい社会主義的政策をいつまでも続けていくことになる。

P74 問題は、このトライアングルの外にいて自由経済の原理が働いているはずの企業にも、内部に絶対的権力があるという点である。

絶対的権力とは、牽制作用が働かない権力を意味する。

日本の企業における社長には絶対的権力である。したがって、絶対的に腐敗することになる。なぜか。それが人間の本性だからである。・・・中略・・・

なぜ、多くの日本企業の社長は絶対的権力なのであろうか。言うまでもなく、株式持合にそのルーツがある。・・・中略・・・

P82 絶対的権力の最大の問題点は自己の地位保全が自己の意思のみで行えると分かった途端にそこで思考停止することである。これまでやってきたことが正しいと決め込んでしまう。新しいことは悪いことで、旧来の方法が良いことになる。

世の中で新しいことが起きてもそれはすべてたわごとで、自分の今までのやり方が正しいし、部下に聞いてもその通りですと返事をするからますます自信がわいてくることになる。自分が発するすべての意見に、すべて“その通りです”と返事しない部下は飛ばしてしまう。

株主価値を向上する経営と言われても聞く耳を持たない。「当社は雇用維持を最優先したのであるから、多少の業績の悪化はやむ得ないのではないか」と言えば「殿、おっしゃる通りです」と言うことになる。そして、このような企業が最初に手をつけるリストラ計画が首切りである。

すべての経営者がこうであると言うことではないが、多かれ少なかれかなり多くの企業の真実に近いのではなかろうか。・・・中略・・・

P84 すべての経営者が腐敗するわけではない。

腐敗しないケースの典型は経営者に対して牽制機能が存在する場合である。もう一つは経営者が自分を律することができる場合であるが「絶対的に腐敗する」とまで言われている絶対権力において腐敗していない例は少ないし、今は大丈夫でもいつ腐敗するかもしれない。・・・中略・・・

米国型のコーポレートガバナンス構造では腐敗が起きにくい。過半数の社外取締役が責任を持って経営を監視しているから、腐敗した経営陣は当然として、業績のあがらない経営者も交代させられる。経営責任を持っているトップ(通常、CEO、最高経営責任者と呼んでいる)には、取締役任命権限も自分の給料を決める権限も、まして、自分の居座りを決める権限もない。常に牽制機能が働いている。

この場合に腐敗する余地はないし、腐敗してみようかという気にもならない。唯一の目標はいかに業績をあげて自分の報酬を上げてもらうかということである。・・・中略・・・

第三章 なぜ日本企業に不祥事が多いのか

P108 最近起きている不祥事の多くの共通点は、規則はあるのに守られていなかった、また、社長には報告がいかなかったという点である。・・・中略・・・

P109 トップが悪いニュースを聞くことを嫌がるケース、悪いニュースを伝えると伝えた人間が損をするケース、経営とは経費節減であると誤解しているトップを戴いているケース、その他いろいろであろうが、最近の不祥事について感じる最も大きな問題点が企業理念の喪失である。腐敗した経営者はまず企業の基本理念を喪失する。

理念の喪失は倫理感(観?)の喪失でもある。・・・中略・・・

P120 繰り返して言うようなことではないが、外の意見も内部の意見も聞かなくなれば社長に限らず終わりである。それは企業が終わりに近づいていることを意味する。

「俺は聞いている」という社長はほとんどの場合おべんちゃらばかりを聞いている。社長とは、就任の当日から裸の王様になる職業である。

第四章 日本を襲う自由化の波

第五章 二極化する日本企業と株主価値経営

第六章 生き残るための経営

P187 全社員が一丸となり努力すれば、達成できないものはほとんどないであろう。しかし、忘れてはならない点は達成しようとする目的である。

なぜ企業は存在しているのか。なぜ自社は存在しているのか。自社の存在が社会的に異議があるのか。自社は何を目指すのか。何を実現したいと考えているのか。これらが具体的であり、これに全社員が納得し日々の行動をその基本線から外れないものにするということが、企業が継続的に存続するための基本条件ではないであろうか。

P189 人間が人間としての理念をうしなってはならないのと同様に、企業は企業としての理念を失ってはならない。それを失えばもはや社会的存在としての企業ではない。単なる企業動物である。

しっかりとした企業理念の下で計上する利益には品性があると言える。お金を右から左に動かせば儲かると聞いて飛びつき、土地を買えば儲かると聞いて飛びつき、だれかれなしに金を貸せば儲かると聞けば飛びつきという経営で儲けた利益は長続きしないし、必ず「お釣り」がくる。とんでもないしっぺ返しを食らうことになる。理念を失って、儲け話にすべて飛びついた結果である。

品性がある利益を計上するということを忘れた時、企業は崩壊の淵に立たされることになる。

第七章 企業理念と企業目的

第八章 グローバルスタンダード経営

 

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新 リーダーの研究 変革の時代にどう勝ち残るか   01.3.17

飯塚 昭男 著  ウェッジ 刊 1,800円

 

哲学と気迫これこそが日本の指導者たちに最も欠けているものである。哲学なくして、未来構想力なくして何が始められようか。その重大さに気づかず、各界のトップたちが単なる調整役にとどまっていれば、ニッポンの再構築は遠のくばかりだ。(本文より)

権威なき権力は必ず腐敗する 

P26

権力は、言うまでもなく、職制上のポストに与えられるものであり、総理大臣とか社長といった地位に就くと自動的に発生する。しかし、権威はそれと似ていて非なるもので、パワーの質がちがう。権威は人格に結びついたものであり、その人間の実績、見識、能力、人間的魅力といったようなものによって裏打ちされたものあり、水が浸透するように人の心をとらえるものだ。

P29 ところで、権力というものはある程度粉飾できるものである。・・・中略・・・そしてその粉飾がいきすぎてしまうと、“裸の王様”になってしまう。橋本龍太郎前首相とか経団連の斎藤英四郎元会長などはその好例だろう。いずれも地位だけが見えて、人格が見えてこなかった。

一方、権威のほうはまるで粉飾できない。権力はごまかせても、権威はごまかせないのである。しかも、リーダーになるとその人間の地金(つまり権威)がすべて世間にさらけ出される。若い頃からトップになるまで何を学んできたのか、いかに自分を磨いてきたのかを含めて、いわゆる全人格が問われる。周囲がいくら粉飾しようとしても、付け焼き刃はすぐにはがれてしまう。

したがって、リーダーたらんとする者は、そのことを肌身にしみて理解しなければならない。社長になってすぐ馬脚を現すのは、もともと権威が希薄であった人であり、当初は立派であっても途中でおかしくなるのは、権威を高める努力を怠ってしまったからであろう。

「説明責任」を体現せよ

P107

「保守党の政策であれ、何であれ、いいものはどしどし継承していく。なぜなら、グローバリゼーションという時代の波は従来の既成概念を押し流すから」と・・・。その柔軟な発想、ニューブリテンを築こうとする情熱には感心させられる。北アイルランド和平交渉に見られるように、重要な場面では常に最前線に立とうとしているのだ。まさにブレア首相はミスター・アカウンタビリティーである。

さて、このブレア首相に対して橋本龍太郎はどうだったか。決断が遅くて場当たり的だ。某財界人が「まるでパンツをはいて風呂に入ってるようなもの」と言ったように、酷評すればきりがない。要するに、苦労知らずのお坊ちゃん、ということになる。

毎日新聞の岩見隆夫(編集局顧問)が「引っ張るのではなく、うまく乗ろうとするリーダーシップ」と評したように、橋本はサーファー型の政治家。状況の変化に応じて波乗りするが、それ以上のものではない。官僚のシナリオに乗って、あたかも自分で決めたように見せているだけではないのか。ブレアと比較すれば、リーダーシップにおいて劣り、とりわけ説明責任力は著しく欠ける。

聞き上手はいかなる雄弁にも勝る

P153 たとえば橋本前首相の失敗は、まず人の話を聞こうという姿勢がまったくなく、唯我独尊、自説にこだわったため、本当の情報が入らずにしだいに“裸の王様”になってしまったところにある。自民党の某長老は、「橋本クンがもう少し聞く耳を持っていたら、政策のタイミングがあれ程狂わなかったろう。惜しいことをした」と嘆いたものだ。

古典“大いなる世界”に親しむ

P203

古典というと思い出すのは、都市銀行の某頭取のこと。この人物はさっそうとデビューし、日本の金融界に新風を吹きこんだ。だが、バブル経済の到来でいち早く舞い上がり、そしてバブルの破裂と同時に失敗して奈落の底に沈んでしまった。「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する」という西欧の格言を地でいってしまったわけだ。

あれだけ有能な人物がなぜそうなったのかと思いあぐねているとき、彼をよく知る友人が「あれは本を読まなかったからね、特に古典は」とポツリと一言。学生時代はラグビーに熱中し、銀行に入ってからはもっぱら耳学問ばかりで、まとまった本を読む習慣がなかったというのである。

その友人は「本を読まなかった」と言ったきりだったが、本当はリーダーに必要な帝王学、その基礎的教育に欠けていたと言いたかったのではないかといまにして思うのである。・・・中略・・・

P210

「思考の三原則」というものがあって、その一は物事につき、目先にとらわれず長い目で見る。その二は一面だけ見ないで多面的、全面的にみる。そして、三は枝葉末節にとらわれず本質をみるとういものだが、この三原則は「大いなる世界」ともいうべき古典で培った下地がなければ、とうてい身につかないものだと認識しなければならない。

他山の石、以て玉を攻むべし

P263 広聴機能のない広報は無用

広報は自分たちの会社を社会に対して説明する「口」であるが、同時に内外からの意見や批判を聞く「耳」である。広聴機能のない広報は、本来の意味での広報ではない。

 

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レイテ沖海戦 半藤 一利 著

P11から抜粋

敵を必滅するのは、一片の命令書ではない。人間そのものがすることである。万策を練り、戦闘を指揮し、決断を下すのは指揮官その人の人間性なのである。どんなに強大で、精緻なメカニズムを誇る軍隊があっても、戦うのは人である。そこには人間本来の過誤、油断、疲労、迂闊さ、そして不信や不手際がつきまとう。誤りは組織の誤りでなく、すべて人の判断なのである。転瞬の間に事の決する戦場においては、特に然りであろう。

P142(10月24日午後)から抜粋

中略・・・武蔵は砲弾一万五千発、機銃弾十三万発をすべて撃ちつくそうとするかのように、連射しつづけている。その破片がスコールのように降り、海面は白くしぶいた。

機銃群指揮官・望月少尉が「主砲は何をしているのか。撃ち方やめろ」と叫んだのは、そうした戦闘のさなかである。砲位盤故障の影響は甲板上にある機銃群の将兵に直接ふりかかってきた。統一的射撃指揮がとれなくなったため、各主砲の砲塔は独立射撃をまかされた。もともと主砲は三式弾による遠距離の敵機射撃が主任務であり、これが発射されるときは機銃員たちは待避して爆風を避け、射撃ができないほど接近した敵機には次に高角砲・機銃が受け持つことになっているのであるが、一元的射撃統制を失った武蔵の主砲は、各砲塔がばらばらに、しかも思いがけないときに射撃をはじめた。重さ一・四トンの砲弾を発射する巨砲の砲撃はすさまじかった。甲板を爆風が突きぬけ、衝撃で鼓膜を破られた機銃員の身体が宙を飛んだ。主砲が射撃するときは、機銃員は注意を受けるはずである。しかし、注意はまったくされなかった。闇雲に耳もとで発射されては耐えられなかった。百二十一挺の機銃は照準装置をへし折られ、フルにその力を発揮できなくなった。しかし撃てる機銃はまだましな方である。主砲の爆風は、あたりの機銃台と味方の兵員を木の葉のように吹きとばして殺戮した。

望月少尉は、自分の指揮する部下に爆風による戦死者が出たとき、撃ちまくる主砲にはげしい怒りを感じた。死ななくてすむものを死なしてしまうことは、指揮官として許せない、許してはならないことだと思った。・・・以下略

 

P250(10月25日)から抜粋

午前八時を回ったか、と思われたときであった。上空に急降下爆撃機を発見、と、瞬時にして羽黒は直撃弾を二発砲塔の真上に受け、天蓋を大音響とともに吹き飛ばし、ぽっかりと口をあけた内部からはもうもうとして黒煙がたち昇った。・・・中略・・・その、痛いような耳鳴りとともに、将兵は顔の色までを失った。砲塔底部の火薬庫の誘爆を恐れたのである。・・・中略・・・

砲塔の内部は鋼鉄の廃墟にひとしかった。すざまじい爆発の灼熱で、内部の構造は黒こげになっている。なお、噴煙と鉄をも溶かす火焔とが熱風をともなってふき出ている。その地獄の釜そのままの、赤く染まった、深い、燃えている穴の底に、戦闘配置のままの姿で黒こげになった十四、五人の下士官兵を、長谷川少尉らみとめて思わず息をのみ、棒のように立ちすくんだ。死に神はかれらに少しもやさしくはなかった。

しかも、考えられないような現実を、長谷川少尉はみとめたのである。砲塔底部の火薬庫の誘爆をとめるべく、一人の下士官兵の死体が、しっかりと弾薬庫緊急の注水弁をにぎって、その上に伏していた。弁が動いたのか、どうか。間違いなく、火薬庫は水でうめられていた。爆撃を受け、一瞬にして鉄の棺と化した砲塔の中で、黒焦げの下士官兵が、生ける屍となって這いよって、弁を回すことが可能なのだろうか。すでに死んでいる肉体が、ただ旺盛な責任感に動かされ、弁を動かしたとみるほかはない。大爆発も、大火傷も、かれの魂までも奪うことはできなかったのか。

一個人の責任感が、だれの命令を受けずに、自分の命とひきかえに艦を守り抜いたのである。・・・中略・・・

長谷川少尉は、このとき、何の脈絡もなく、全身火傷の身に鞭うって弾薬火薬庫緊急注水弁にとりついたものが、二番砲塔先任下士官の本多という上等兵曹であったと、その名前を不意に思い出した。・・・以下略

P308から

生産においても技術においてもはるかに劣っていた日本という国が、その軍事力だけをバックにして、あるいは精神力の過信を根底にして、世界を相手の近代戦を戦い、個々の戦闘はともかくとして、大局的に破れたのは当然の帰結なのかもしれない。たとえば技術だけを考えてもよい。一つにはレーダーがあった。他の一つには通信があった。それは設備だけでなく、情報にたいする当時の日本人の姿勢の問題でもあったであろう。レイテでの、フランスの国土と同じ広さの海にひろがって展開された戦闘は、未来戦のスタートともいえる意味をもっている。小沢艦隊が巧みに動くことでハルゼイ大将の最強機動部隊を三群ともルソン島の北方海面に引っぱり出し、レイテ島海域には強力な艦隊が存在していなかった事実、しかしその情報を、最後の最後まで、栗田司令部がつかむことができていなかったというのは、不思議という以上のなにかを感じさせる。これまでにしばしばいわれてきたように、小沢司令部の不手際(送信機の故障といったような)では決してない。「艦隊が敵と接触した」ことを意味する電報も「松田支隊の南下」を知らせる電報も、瑞鶴から大和の電信室へ間違いなく届いている。しかし、それが作戦室まで届けられなかったということになっている。

P395から抜粋

旗艦愛宕が沈んだとき、栗田艦隊の司令部付電信員の大半は、駆逐艦朝霧に救助されたが、これが大和に合流する機会を得ないままブルネイに逆戻りしてしまった。そのため、大和の電信室は、大和自体と宇垣中将の第一戦隊司令部の上に、艦隊司令部の交信が加重され、艦隊司令部のための電信員は半数しかおらず、すっかり作業が加重になった。電報は受けても、翻訳(暗号の)洩れができ、艦橋にも届け洩れができたのではないかという。・・・中略・・・ちょうどシブヤン海で、大和が米機の猛烈な空襲を受けているときにあったている。戦闘中の混乱にとりまぎれて、受信洩れが起こり、あるいは司令部に伝わらなかったのではないか、ともいう。

<大いなるナゾ>・・・中略・・・別に大和の艦橋にもアンテナにも爆弾が命中したわけではない。にもかかわらず、そんな戦闘中に混乱を生じ、それにとりまぎれて重要電報の届け洩れが発生するようでは、戦闘を任務とする海軍の、しかも戦艦大和の戦闘力(通信も戦闘を構成する重要な要素である)が弱すぎる。

とすれば、その理由は、ナゾとしかいいようがなくなる。戦史室も、「大きなナゾだ」といっている。山野井・小沢艦隊通信参謀は「普通はちょっと考えられない、なにか、よくよくの事情があったということになりますね」ともいう。ナゾが真に不可知のナゾなのであろうか。

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戦艦武蔵の最期  渡辺 清 著  朝日新聞社 刊 絶版中 (01.5.12)

P120 

 第一波の空襲で、武蔵は右舷後部の百八十番ビーム付近に魚雷一発を受けたが、それでもはた目にはなんの変化もなかった。隣室の十一番罐室と、第ニ水圧機室に若干浸水があった程度だった。艦体も一時右へ五度傾いたが、これもまもなく注排水装置(説明省略)によって復原し、速力も依然最大戦速を保持していた。

 しかし、外見はとにかく、この一発の魚雷が武蔵にあたえた影響は深刻だった。魚雷が命中した瞬間の激動で、前檣のトップにある主砲の射撃方位盤が旋回不能になってしまったのである。むろんこれは、直ちに後檣の予備方位盤に切り換えられたが、被害はそれだけにとどまらなかった。同時に機銃の電動照準装置も故障して使用不能におちいった。機銃の照準装置は、原理は方位盤と同じで、砲甲板の覆塔機銃を四基一群の単位にして一斉に発射できる装置であるが、その故障で各銃は、それからは単独の第二射法(曳光弾で目標を捕捉する射撃法)によらなければならなくなった。

 だが、故障箇所をそのまま放っておくわけにはいかなかった。早急に復旧して次に備えなければならなかった。そこで艦長は、ただちに工作長にその復旧を命じたが、時間的に間にあわなかった。・・・中略・・・まもなく敵の第二波が襲いかかってきたのである。

敵機は、こんども太陽を背にして真横から突っこんできた。これは敵の巧妙な作戦だった。太陽の光をまともにうけると、こちらはまぶしくて正確な照準がしにくくなる。敵はそこを狙っているのである。・・・中略・・・

P125 

 右舷中部に、ふたたび鋭い、叩きこむような炸裂音がとどろいた。その煽りをくって、艦上構造物のすべてが激しく動揺し、震動した。警報器の赤ランプがまた点滅した。同時に射撃指揮所の砲術長越野大佐から、緊急の直通電話がかかってきた。艦長付の佐野少尉は、赤ランプがつくが早いか、とびつくように受話器をとりあげて叫んだ。

「艦長、砲術長より、主砲の予備方位盤故障!」

隔壁から肩から上をのりだして、右舷海面を注視していた艦長は、振りむきざま、少尉の手から受話器をひったくるようにして、砲術長に、

「なに、故障、どうしたッ?」

砲術長のせきこんだ声がコイルを流れてくる。

「ただいまの震動で、動輪軸が屈曲して旋回不能です。」

「復旧の見込みはないか。」

艦長は繰返して叫んだ。

「・・・見込みはないのかッ。」

「ありません!」

・・・中略・・・

 トップの主砲方位盤につづいて、予備方位盤が故障をおこしたので、主砲はもはや第三射法による以外になかったのである。第三射法というのは、前部の一番主砲を右舷に、二番主砲を左舷に後部の三番主砲は後方に、あらかじめ向けっきりに向けておいて、各砲塔がその射撃範囲を分担するという、変則的な射撃法だった。むろん照準も、砲塔測距儀による各砲単独の砲測照準である。

 大型艦の砲は、大体どの艦も同じだが、射撃はすべてトップの方位盤で行われる。方位盤の射手がトップで照準して引金をひくと、それが電動作用で自動的に砲測につたわり、各砲塔が一斉に発射できる仕掛けになっている。これは各砲塔ばらばらな単独射撃とちがって、目標の捕捉や着弾修正がきわめて容易だった。・・・中略・・・その高い命中率とともに、砲の威力を最大限に発揮することができる。だがその有効な一斉射撃も、いまの方位盤の故障で事実上できなくなってしまったのだ。これは武蔵にとって、たいへんな痛手だった。その戦闘能力が一気に半減してしまったといってもいいほどの深刻な打撃だった。

 それにしても、直撃弾を受けたというならまだしも、水線下にくった魚雷一本の震動ぐらいで、あっけなく故障するような方位盤を、どうしていままでそのままにしておいたのか。戦闘には震動はつきものである。むしろ激しい震動の連続といってもいい。しかも方位盤は、主砲の射撃には欠かすことのできない兵器だ。方位盤あっての大砲であり、大砲あっての方位盤とさえいわれている大事な兵器だ。とすれば、そこにあらかじめ不測の震動にも十分耐えうるだけの防御装置を施しておくべきだったのだ。

 武蔵は、大和とともに現在の造船技術の粋を集めて建造されたものだといわれている。新造艦であれば、むろんそれはそうにちがいない。たしかにその構造といい、装備といい、排水量といい、これまでの陸奥・長門級戦艦の型を大きく破っている。そのため部内でも、武蔵・大和は無類の安定性を備えた「不沈」の戦艦とまでいわれている。だがその誇称はとにかく、その堂々たる見かけの内がわに、このような脆さを秘めていたのだ。ちょうど張り子の虎のように、なまくらな脆弱さをこっそり内に抱えこんでいたのだ。しかも戦端を開く今日まで、誰もそれに気がつかなかったのである。これは明らかに、造船設計上の大きなミスであるが、問題の根は、さらにもっと深いところにあるのかも知れなかった。

 P229に記載されているような「天皇批判や財閥批判」を武蔵の乗組員が本当に言ったのかどうか?「小説」の形態(第三者が発言した形式)をとっているので検証できない部分であると思います。

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島の墓標 私の「戦艦大和」

鬼内 仙治 著   創元社 刊   (2001.5.10)

P51 四月六日の早朝、海軍最大の燃料補給所のある徳山港沖に停泊した「大和」は、油槽船からの燃料搭載を受け、前日に引続いて慌ただしい出撃準備に追われた。・・・中略・・・

補給所の燃料は帳簿上は殆ど底をついていたが、「大和」には連合艦隊司令部命令の二千噸を越えて四千噸、「矢矧」には千二百五十噸、その他各艦も満タンとした。このような燃料の入れ方を艦長伝令北潟光夫は久しく見たことがなかった。「大和」とその艦隊を救えという燃料廠関係者の熱意が乗員にも伝わってくるようであった。

P107 レイテ沖海戦では三日間で千五百機が来襲したが、五波来ようが十波来ようが平気であった。戦闘機、急降下爆撃機、雷撃機と順序よく来ので、それぞれに合った対応をすればよかった。グラマンF6Fなどは一番機が翼を振った地点から後続機が順次降下した。したがって射撃目標は一番機に照準を合わせるだけでよかった。ところが今度はがらりとその戦法を変え、二番機以降は一番機後方に円形に占位し、一番機降下地点を越えてから任意に沈んだ。視界が悪いうえ勝手の違うその攻撃ぶりに砲の指向が間に合わない。ことに急降下爆撃機は砲身にそれ程の仰角がとれぬのをいいことに、垂直にとどめなく突っ掛かってきた。戦闘が激しくなると、射手は引き金を引きっぱなしにして、射撃盤の測定だけで発射した。

第一波攻撃が終って、上部被弾個所の応急修理をしたり、今後の対応を協議している時、第二波の来襲があった。

P108 傾斜が強くなれば主砲、副砲の方位盤照準が不可能になる。それに主砲の照準目盛りにもない近距離なので、高角砲と機銃が全力を発揮せよという令が来た。その声に焦燥のようなものが感じられ、令を発する前檣楼防空指揮所が遙かな遠隔地のように思われた。

敵の攻撃は左舷に集中し、艦はその攻撃を巧みに躱していたが、刻々に変わる転舵で照準が思うに任せず、高角砲の迎撃能力は急激に弱体化していった。

P139以下は涙なしには読めません。アメリカ軍の戦争(戦闘)に対する柔軟な対応や戦略・戦術に対する考え方には感心します。これに対し日本側の硬直的な発想や上意下達のみの組織運営など(の体質)は現在に至るまでこ変わっていないように思います。

戦艦大和は昭和12年11月4日に呉海軍工廠において起工され、昭和16年12月16日に海軍に引き渡されて竣工した。昭和20年(1945年)4月6日午後4:00(2:30?)アメリカ軍の攻撃を受け屋久島の西方沖にて沈没。

戦死された皆様のご冥福をお祈り申し上げます。

「日本軍の小失敗の研究」などをご参照ください。

 

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山口 多聞  空母「飛龍」に殉じた果断の提督

P196から

「中略・・・明治という国のゆがみが一気に吹き出たんだ。無理に戦争を起こして、長岡や会津に攻め入り、略奪の限りを尽くした。そうして出来上がった明治国家が暴走したんだ。人の苦しみが分からない、そういう国をつくったんだ。俺は蒋介石の気持ちがよく分かる。その明治国家の後始末を、長岡の俺(山本五十六)とか、仙台の井上とか、米沢の南雲がやらされるんだ。盛岡の米内さんは、つぶれてしまったがな。」

山本五十六の目に涙が光った。 

あとがきから

たしかに一部軍人の独走もあったが、当時の日本にどのような選択肢があったのか、となると難しい問題になってくる。ただはっきり言えることは、したたかな外交戦略の欠如である。山本五十六や山口多聞が反対したにもかかわらず、ドイツ、イタリアと三国同盟を結んだ当時の政治家、外務官僚たちのお粗末な情勢分析は、理解しにくいところである。世界有数の海軍力を「どこで、いつ」切り札として使うかという戦略の欠如が根本にあり、結局はすべてを失う結果になってしまったのである。

「昭和史の論点」をぜひご参照ください。

コメント・・・現在もしたたかな外交戦略は無いように感じますね。

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日本の敗因  歴史は勝つために学ぶ  小室 直樹 著

第一章 「敗因」は腐朽官僚制にあり

第二章 真珠湾攻撃に始まった日本の「敗因」

第三章 ヴェンチャーであった「ゼロ戦」

第四章 勝てなかった日本のシステム

第五章 歴史に学ばなかった国の悲劇

第六章 戦後も脈々と続く「敗戦のシステム」

第七章 戦後日本経済に吹いた「神風」の正体

第八章 どうすれば勝ち残れるのか

 

表紙の帯から・・・「無能な秀才」を中枢に置くシステムが、日本を敗戦に追い込んだ。

50年後、またしても同じ敗因によってもたらされた経済敗戦。

この「日本のシステム」を葬らねば、今後もあらゆる分野で敗戦は続く!!

 

勝者敗因を秘め、敗者勝因を蔵す。

勝った戦争にも負けたかもしれない敗因が秘められている。負けた戦争にも再思三考すれば勝てたとの可能性もある。これを探求して発見することにこそ勝利の秘訣がある。成功の鍵がある。行き詰まり打開の回答がある。これが歴史の要諦である。戦後50年にして、日本経済は世界を制覇しつつあった。(中略)

しかし日本人は、この予想外の大成功の原因をよく考えてもみなかった。僥倖(予想外のしあわせ)の積み重ねにほかならないことを理解しなかった。(中略)

大艦巨砲主義と歩兵の吶喊で日露戦争に勝った。これと同じ方法で勝てると思ったところに大東亜戦争の敗因がある。日本を経済大国へのし上げた日本型システムが、今も通用すると思ったところに経済敗戦の原因がある。−前書きより抜粋−

 

P26 アメリカの物量に敗けた。これは、敗戦責任を逃れるための軍部の口実にすぎない。

あの戦争は、無謀な戦争だったのか、それとも無謀な戦争ではなかったのか。答えをひとことでいうと、やはり、あの戦争は無謀きわまりない戦争だった。

しかし、無謀とは、小さな日本が巨大なアメリカに立ち向かったということではない。腐朽官僚制に支配されたまま、戦争という生死の冒険に突入したこと。それが無謀だったのである。

明治に始まった日本の官僚制度は、時とともに制度疲労が進み、ついに腐朽して、機能しなくなった。軍事官僚制も例外ではない。いや、軍事官僚制こそが、腐朽して動きがとれなくなった、典型的なロトン・ビューロクラシー(腐朽官僚制)であった。

そんな軍部のままに戦争に突入したのは、たしかに無謀だった。その意味で、あの戦争は「無謀」だったのである。

P180  日本は物量戦に敗けたのではない。技術力で敗けたのでもない。指導者の無能力が原因で敗けたということがよくわかる。

P182 目的を見失う官僚たち

腐朽した官僚がまず見失うのは、目的である。

戦争の目的は何か。それは、勝つことである。戦争に至る経緯はいろいろあるにせよ、始めたからには、勝つことが目的となる。実際に戦いを実践する軍部はなおさらのことだ。勝つための方策や手段、それが軍部のやるべきことのすべてである。

その目的が、優秀な官僚にも見えなくなることがある。本来の目的を忘れて権力を使うようになる。権力を自分の利益のために使うという意識すらなくなってしまう。あるいは、関心が自分の仲間への忠誠心だけになって、外に対する役割を忘れてしまう。

軍部でいえば、国が勝つためにやってる戦争が、自分たちの組織のための戦争になってしまう。

大蔵省の金融政策は、国と国民のために行うことであるという基本的な事柄を忘れ、大蔵省という組織を、その組織の威厳を、権力を維持するためという目的に、いつのまにかすり替わってしまう。

外務省もしかり。いうことが至上命令となる。国民などほとんど不在なのである。「省益を守れ」ということになる。

外に対する自分たちの役割を忘れ、関心は内側に向く。力を注ぐのも内側に対してである。それが腐朽した官僚組織に共通の特徴だ。

P206 だれが連合艦隊司令長官であったならば、日本は戦争に勝っていたか。だれがもっとも優れた提督であったか。その答えは、山口多聞である。衆目の見るところ、敵も味方もこのことについては意見が一致する。

上司の採点が辛いことで知られる源田実大佐ですら、山口多聞を「ネルソンにも匹敵すべき名将」と評してる。・・・中略・・・

だれが見ても、ベストは山口多聞。しかも海軍航空隊の草分けの第一人者である。では、なぜ彼を連合艦隊司令長官にしなかったのだろう。それが年功序列なのである。

若すぎたからである。山口提督は海軍兵学校第40期、山本五十六は32期だった。

年功序列からすれば、山口が、山本の地位にのぼるには8年待たなくてはならない。・・・中略・・・たった8歳かそこらなのである。

人間50歳を過ぎれば、どんな仕事でも若すぎるということはないと思うのだが。

 

P309   高級官僚の受験テキストたる儒教の古典のテーマは、忠臣義士の養成である。この古典を暗記、最難関たる科挙に合格しても、その内容が身についていない。

忠臣義士の精神を貫き、殉死するどころか、平気で敵にひれ伏す。

これが受験勉強だけが得意な高級官僚の真の姿である。

この科挙を手本として作られた日本の官僚制度の正体も、これと同じである。

 

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裏読み深読み国語辞典 (01,3,18)

 

同訓異字について筆者の解説がなかなかおもしろい本です。日本語や文書に対してまじめに取り組もうとしている人には大変参考になる本だと思います。

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検証バブル 犯意なき過ち  日本経済新聞社 編

おかしいと思ってもモノを言えない営業現場の銀行員。当局の意向に従うだけで、責任を取らない経営陣。視野の広い戦略を欠き、肝心の決断は先送りした当局。それは太平洋戦争における前線の兵士と将校、将校と参謀本部の関係と全く変わっていない。

時代の空気に流されず、自らの責任で決断、行動できる「個」を確立する必要があるのではないか。

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一下級将校の見た帝国陸軍 山本 七平 著

本書の概要 「帝国陸軍」とは一体何だったのか。この、すべてが規則ずくめで超保守的な一大機構を、ルソン島で砲兵本部の少尉として酷烈な体験をした著者が、戦争末期の戦闘、敗走、そして捕虜生活を語り、徹底的に分析し、追求する。現代の日本的組織の歪み、日本人の特異な思考方法を透視する山本流日本論の端緒をなす本である。

P17 

大に事(つか)える主義・・・事大主義、自分より大きいものに「つかえ」、自分より小さいものには従属さす主義。・・・この傾向は、戦前戦後を通じ日本人に一貫して流れている一つの特徴である。

(・・・今まで尊大だった態度も、立場や相手が変わると「こびへつらい、もみて、ごますり・・・」これが事大主義に基づく一瞬の豹変である。・・・)

P168  

日露戦争的前提はすでに完全になくなっていた。そして前提がなくなっているのに、それに目をつぶって前提が変わっていないとしたとき、帝国陸軍はすでに虚構の存在になっていた。・・・中略・・・だが、このような前提の変化に、われわれは常に対処しそこなう。

その結果、あらゆる組織は無意味・無目的の“自転”をはじめ、その“自転”が無意味でないことを自己に納得させるため、虚構の世界に入ってしまう。そしてそれが虚構でないように見せる演技が「気魄誇示」であり、そのため「事実」を口にした者には、「気魄」を持ち出して徹底的な罵詈雑言を加えて、その口を封ずる以外に方法がなくなる。

コメント ぜひご一読をおすすめいたします。

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昭和史の論点

本書の概要 国を鎖していた小さな東洋の島国が、急速な近代化を成し遂げ、ついに世界の「一等国」を自任するまでになった。しかし東亜の風雲はおさまらず、軍部は独走し、複雑な国際情勢の中で、ついに未曾有の大戦争に突入していく・・・。昭和日本はどこで誤ったのか?ワシントン体制から満州事変、二・二六事件、廬溝橋事件を経て、太平洋戦争、敗戦に至る過程を、昭和史研究の第一人者が、片寄った史観にとらわれることなく、徹底的に討論検証する。

P126 

半藤 ・・・中略・・・イギリスに学んだ海軍が、なぜドイツに傾斜したのか。そのことが疑問で、旧海軍軍人に会うたびに訊いたんですが、みな口を濁して答えないんです。ところがあるとき、海軍中佐だった千早正隆氏があっさりと真相を語ってくれたんですね。つまり、ドイツに行った海軍士官はみんな女をあてがわれて、骨抜きにされたんですと。

保坂 ドイツではメイドの名目で若い女を日本の武官と一緒に住まわせたといいます。これが実質的な現地妻だった。

半藤 アメリカへ行った武官はそんなことはまるでなかったのに、ドイツへ行った武官はみんなすごくいい思いをして帰ってきた。それで、ドイツはいい国だと。実に下世話な話で、まことにつまらない話ですが、真相はそのあたりにあるようです。

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P129

 

 「昭和天皇独白録」のなかで、天皇は、松岡はドイツに買収されたんじゃないか、と言ってますね。

 

P202 原爆はなぜ日本に投下されたか

 

半藤 ・・・アメリカが原爆を日本に投下しようと決めたのはいつなのか、・・・中略・・・、はじめから日本しか考えていなかったという説もある。・・・中略・・・原爆開発計画である「マンハッタン計画」の総指揮官だったグローブス少将の昭和20年4月24日付の手紙には、目標は一貫して日本だったと書いてあります。・・・

 

 

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私の喧嘩作法 屋山 太郎 著

 

 

本書の概要 相手が誰でも歯に衣着せず、時には鉄拳で「道理」を通す。政治家に借りを作らず、馴れ合わず、狡い奴は許さない・・・。

 

父の痛快な教育論から、賭麻雀にあけくれた不良学生時代、初めて語られる戦後政治の舞台裏、福田赳夫、田中角栄、中曽根康弘らの人物像まで、小気味よいエピソードばかり。

 

P113 日本社会党の石橋政嗣委員長は「非武装中立論」の中で、外国の軍隊に攻め込まれたら「白旗を揚げてうまく敗ける方法もある」などと寝ぼけたことをいったものである。・・・中略・・・

 

第二次小渕内閣の組閣のさい、その発言を問題にされて防衛政務次官を辞めさせられた自由党の西村真悟氏がいったのは@核問題は国会で論議しなければならないA戦争に敗けたら女は強姦される・・・の二点である。核について「議論せよ」といってどこが悪いのかAについては表現がどぎついかも知れないが、戦争の真実は西村氏が言う通りだ。

 

P158 『スイス国民の国防意識』という本の中で・・・中略・・・「列国の支援や条約による中立の宣言より重要なものは、スイス国民が中立と独立を自分の力で守り抜く決意を示すことであり、それが外国から高く評価されてこそ、初めて中立尊重を期待することができる」

 

スイスが五百年の中立を守り得たのは、周辺諸国が条約を尊重したからではない。条約を破っても割に合わないと周辺諸国に判断させたからだ。

 

 

P139 田中(角栄)氏が幹事長となり、総理となり、その後闇将軍となって日本の政治を動かした十数年間は、自民党、いや日本の暗黒時代だったといっていい。日本の政治をこれほど毒した人物は他にいないのではないか。

 

P148 しかし彼(田中角栄)が都内の一等地に三千坪の豪邸を構え、二号さんに金庫番をやらせ、三号さんの住んでいる一等地が、元をただせば国有地であったことは否定し難い事実である。・・・中略・・・そのふざけた男が、権力の座から落ちたのちも金の力で勢力を伸長し、官界にも影響力を行使し、闇将軍として与党・自民党を十余年にわたって牛耳り続けた。

 

P151 相手に一太刀浴びせれば、自分にも一太刀返ってくるのが武道の常識であって、自分だけ安泰などといううまい話があるわけがないのである。名を挙げて攻撃した人には一生恨まれて、友人を無くすことになるが、それが怖くて物が書けるか。人間、何百年も生きるわけではなし、恨まれたから住みにくくなると言うものでもない。

 

P152 公職や公的地位(労働組合幹部や大企業の幹部も含まれる)にある人は、在野の強烈な批判に耐えられるような仕事をすべきだというのが私(筆者)の考え方だ。

 

コメント・・・私もそう思います。リーダーには常に公私のけじめと誠実な職務の遂行が求められていると思います。

 

著者 屋山 太郎

一九三二年福岡県生れ。東北大学文学部卒。時事通信社に入社。海外特派員、編集委員などを経て、現在、ジャーナリスト。

 行政改革、政治改革、規制緩和の推進を唱えつづけている。行政改革によって官僚の専横をやめさせ、小選挙区制により族議員を排除し、規制緩和によって経済を活性化、国際的に対応できるシステムをつくる。この三つは氏にとって切り離せないものなのである。八一年より臨時行政調査会委員となり、以後、十二年にわたり「行政改革という問題に付き合う」。八二年の「国鉄国賊論」は、その後の国鉄民営化に大きな影響を与えた。しばしば激しい批判を展開し、論争を行う。最近では、大蔵省国際金融局長の榊原英資氏の評価をめぐり、評論家の西部邁氏と『産経新聞』において激しく論戦。また、現在の閉塞状況を打破するには、解散・総選挙を一日も早く行うよう主張している。

 著書に『官僚亡国論』(新潮社、93年)、『責任者、出てこい』(PHP研究所、96年)などがある。

 

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日本海軍失敗の研究  鳥巣 建之助 著

 

まえがきより抜粋

・・・太平洋戦争は「無知無謀の戦争」というべきか。・・・

・・・どうにも防ぎ得ぬ戦争だったのであろうか。・・・

・・・人事の失敗、おごり、優柔不断、世界的視野の不足、情報の無視、偏狭、暴走・・・数え上げれば際限がない。

さて、身を投じた海軍、終始愛し続けている海軍、誇りとしている海軍の失敗を探求しようと考えたのは、愛し、誇りと思う故に、深刻に反省しなければと信じたからである。

中略

広い視野と良識、そして安定勢力、それが海軍の長い伝統であった。だが、いよいよのとき、人を得ず、さらに似非(えせ)エリート中堅層のため足並みが乱れ、まず己に敗れ、陸軍に敗れ、戦わずしてすでに戦争に負けていたのである。

国を護り、王道を守るためには強くなければならぬが、日本海軍は最大の危機に際し、真の強さを失い、戦争を回避することができなかった。このこの失敗をみつめ直さねばならない。

 

(表紙カバーから)

「太平洋戦争」は本当に防ぐことができなかったか? 海軍はなぜ暴走する陸軍を抑止できなかったか? 元海軍参謀が、明治の健軍以来の歴史を虚心坦懐に見つめ直し、日本を破局に向かわせた真の原因を、整然たる理論と明晰なことばで明らかにする。世紀の失敗から教訓を学ぶ点で、今日の日本人にとって深い示唆に富む快著。

 

 

 

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日本軍の小失敗の研究  三野 正洋 著

 

世界の半分を戦場とし、一千万人の生命が失われて太平洋戦争・・・敗者の側にこそ教訓は多く残っている・・・ユニークな視点から分かり易く敗因の究明と分析。・・・中略・・・日本とアメリカ、日本人とアメリカ人を考える話題の書。

 

日本の失敗の本質は「日本の失敗の本質は、人口で二倍、生産力では・・・算出方法によって異なるが・・・十ないし五十倍というアメリカおよびイギリスに、全面戦争を挑んだこと」がすべてであるが、

1.本書は「物量」の差を考慮せず、あくまで物量以外のところで、敗れるべくして敗れた原因を追及していく。

2.「軍事、戦争といった特殊な事柄については、専門家が絶対に正しい」という間違った考え方を打破したい。

3.戦争、戦闘の勝敗の分析から、経済、生活に生かせる教訓は多々得られるはずである。学び取れる事柄を拾い出したい。

 

「あとがき」から

 

日本陸軍の高級将校の頑迷さ、保守性、そしてあらゆる面における先見性のなさには呆れるばかりである。

 

物事を進歩させるための要因は、日常生活をもう一度皆をすことにあるようだ。・・・中略・・・これに気がつき変えていけば、生活は少しずつ向上していく。特に軍隊にあってはわずかな工夫で戦力は増強されるのである。

 

もうひとつ、重要な日本人の特質とも言うべき「人前で意見を述べない」と言う習性について触れておこう。・・・中略・・・

本書で取り上げたいくつかの悲劇の始まる前に、一人でも「それはおかしい」と声を挙げる者さえいれば、事態は好転したかも知れない。

現在にように諸外国との交渉が頻繁となれば「沈黙は金」などという諺は嘲笑の的になるだけである。

また、日本人同士の阿吽の呼吸など、まったく百害あって一利なしと言えるものである。外交交渉、契約の締結をはじめとして、あらゆる場面で自分の主張を述べることなしに、平和も安定も得られない。

 

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海軍参謀  吉田 俊雄 著

 

企業は「環境の変化に適応して自己改革するシステム」といえる。日本海軍もまたそのひといつであったはずなのに、その指揮官たちはついに自己改革できないままに終り、帝国海軍は崩壊した。海軍大学校のエリート教育が生んだ十人の代表的参謀を俎上にのせ、彼らの失敗を今日的視点で検証して明らかにする「幹部の条件」。

 

P27 海軍頭脳中枢で要職を占めた海軍のエリートたちは、優遇され、尊重され、特別扱いされすぎて、平たくいえば、自信過剰になっていた。

かれらは自信過剰になるあまり、自己革新能力を失い、一方、他と協調する心を弱めて、組織の成果をあげるのにもっとも必要な、チームワークをスポイルしてしまった。

 

P33 ・・・人のどの点とどの点を見たら、正しく人を評価できるか・・・

・・・どうしたらもっと適切な人材を置くことができ、海軍として、あるいは日本軍としての戦力を高めることができるのかが、誰にもわかっていなかったことである。

 

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江戸の賄賂  童門 冬二 著

江戸は賄賂の温床であった。

家康以来の大名分断政策によるところが大きい。

すなわち

・花と実を同一人に与えない

・花(名誉)を与える者には実(給与)を少なくする。という方針をっとった。

幕府の高官は、すべて譜代大名とし、反対に役に付けない外様大名は、大藩であった。

この経済力の差と、大名の財力をそぐために設けられたのが参勤交代制度であり、

幕府の命令で行われる各種土木・建設工事・・・いわゆる「お手伝い」であった。

「お手伝い」を命ぜられる側の大名にとって、どんな工事が、どこの大名に負担させられるかの情報を得え、

できればこれをうまく回避するためにも、いわゆる賄賂が盛んになったのである。

 

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改善のススメ    三野 正洋 著

戦争から学ぶ勝利の秘訣24条

 

自分自身の欠陥を早期に発見する努力を怠っている組織の実力は、間違いなく低下する。

 

兵器の開発に限らず、巨大なプロジェクトに取りかかるとき、忘れてはならない事柄はなにか。

(1)計画の全容を詳しく公開すること。

(2)それが本当に必要かどうか、出来る限り徹底的に論議すること。

また簡単に結論を出さないこと。

(3)不要とわかれば、開発、実施の途中であってもただちに中止する勇気をもつこと。

 

コメント・・・組織の構成員以外には知らされない機密のプロジェクトの場合は難しいでしょうね。

しかし、機密事項でなければ出来るだけ情報を公開、共有して公正な議論をすることが大切だと思います。

 

日本の軍隊がその戦闘能力で欧米の軍隊と比べて劣ることになった要点

 

1.身近なところに競争相手が存在せず、自分の持つ力の客観的な評価ができなかったこと。

2.内部、外部のいずれからの批評も受け入れようとしなかったこと。

3.海外の先進的な情報の収集を怠ったこと。

4.過度の精神主義に陥り、合理的な判断ができなくなっていたこと。

 

既存の技術の向上をはかり、改善、改良を続けていくことは大変に重要である。世の中がそれによって進歩してきた事実は、決して無視できない。

しかし時には、それと全く別の、革新的な技術が登場し、旧来の技術を完全に駆逐してしまう事例もある。

そしてまた、それに気付かなかった組織や個人は、否応なく消えていかなくてはならない運命に追い込まれる。

 

1.失敗、敗北は個人、団体、国家にも多々起こり得る。充分な努力を重ねていても、これを完全に防ぐことはできない。

2.失敗したわかったら、できるかぎりそれに関する情報を集め、原因を列挙し、その後分析を行う。

3.それだけでは充分ではなく、似たような状況に遭遇したとき、以前の失敗を再び繰り返さないための方策を、あらかじめ用意しておく。

4.それらを常に頭におきながら、物事を進めていく。

 

 

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戦艦武蔵ノート   吉村 昭 著

 

戦艦武蔵ノートより抜粋

 

「武蔵」がレイテ沖で沈没した当時軍医長だった村上三郎氏の談話より
「まったく大きなフネでした。戦艦日向が横づけしたことがありましたが、武蔵とくらべると駆逐艦のように小さくみえました」
氏は、町医者らしい柔和な表情で思い起こすような目をして言い、私の質問に答えて、沈没時のことを話しはじめたが、軍医らしく負傷者の姿を冷静に観察していた。
病室に集められた多くの負傷者の血が、部屋のしきりからあふれるほどたまっていて、その中に手足のない者、内臓のはみ出した者がひしめき合って横たわっている。顔の半分がえぐり取られた水兵の処置をしようとすると、「重傷の者からやってください」と言いはり、「大丈夫であります」と処置を頑固に拒まれた話。艦が傾きはじめた時、甲板上に集められていた負傷者が一斉にすべりはじめて海にこぼれ落ちていった情景。それらは、氏の口からさりげない言葉で流れ出てくるが、ノートする私の文字は、興奮のため滑りがちだった。
そうした話の間にも、私は、氏の話にくり返し挿入される言葉に思わず笑いをもらしていた。それは、「恐ろしくて」という言葉だった。
・・・中略・・・
また、夕方、艦が少しずつ傾きはじめた折りも、はげしい恐怖におそわれて身がすくんでしまった、とも告白する。
「私は四十三歳で妻も子もいる。生きたい、と痛切に思いましたよ」
そうした村上氏だけに、若い水兵たちの平然とした態度には、敬意と驚きをおぼえたらしい。氏は、艦底の戦時治療室から、「上甲板に上れ」という指示をうけて、上甲板に這い上ってきたのだが、治療室に軍刀を置き忘れてきたことに気づいた。そのことを何気なく口にすると、かたわらにいた若い水兵が、
「持ってきます」という。
すでに艦は傾きはじめているし、治療室から上甲板までの通路は電灯も消え、電線や曲がった鉄板が錯綜して通ることは至難に近い。
あわてて制止したが、水兵は駆け出した。氏は、一人の若者を死に追いやったことをはげしく悔やんだが、やがて水兵は軍刀を手に明るい表情をしてもどってきた。
「私は恥しくてなりませんでしたよ。今でもあの若い水兵の明るい顔を思い出します」
氏はうるんだ目をして言った。
また、副長が退艦用意を命じた時もすぐに飛びこみたかったが、士官が先に飛びこむことも出来ず、水兵たちに、
「飛びこめ」
と命じたが、水兵たちは、
「いやです、軍医長が先に退艦してください」
と言って、きかない。
そんな押し問答がつづくうちに艦の傾斜が激しくなり、ところどころではるかはるか下方の海に飛びこむ者の姿が多くなった。
・・・以下省略

 

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金持ち父さん貧乏父さん

P89から

柔軟性を持って新しいものを喜んで受け入れ学び続けるならば、人は変化を乗り越えるたびにどんどん裕福になっていく。お金があればすべての問題が解決すると思っている人は、これから先、苦労するだろう。問題を解決し金を生むのは頭脳だ。ファイナンシャル・インテリジェンス(お金に関する知性)の乏しい人が持っているお金はすぐになくなる。

 

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死の病原体プリオン  リチャード・ローズ 著  草思社 刊 定価 1,900円

 

前書きより

悪性の種子ともいうべきこの病原体は、構造的に異常なタンパク質である。これがいわば異常な結晶化を起こし、脳が自分で自分自身を破壊する要因となる。とすると、これはまったく新しい病因であり、根絶することが不可能であるかもしれないのだ。

この病気の感染経路ははっきりしている。動物が動物を食うという食肉行為によって感染する。動物の遺骸を動物の飼料にするという飼料産業が作りだした人為的な食肉行為によっても感染していく。牛肉を食べることでも感染する。

 

コメント:ついに日本でも狂牛病の発症?(2001.09.11)

都合の悪いことは「発生しないものとする」のが、日本の官僚組織の基本的スタンスである。狂牛病についてもその発症の危険性が指摘されていたにもかかわらず、日本は安全と思いこませてきたのはだれだろうか?

私たちの自衛策は(独断と偏見による)

・骨付きの肉は食べない、買わない。 例 骨付きカルビ

・肉を含む加工食品はできるだけ買わない、食べない。

くず肉を使っていると、そこに骨や脳髄などが紛れ込む可能性あり

例 安いハンバーグや安いハンバーガー、安い肉の加工食品

・動物の排泄物に接触しない。(家畜以外に野鳥の糞も要注意)

・園芸用の骨粉や動物の排泄物にも注意してください。

骨粉や牛糞堆肥などは感染源のひとつとされています。

・今は、牛が注目されていますが、豚や鳥も気を付ける必要があります。

なぜなら、牛と違い、豚や鳥は飼育期間が短いため狂牛病を発症するまでに食肉にされるからです。感染を知らずに私たちは毎日これらの食肉を食べている危険性があります。

 

危機管理についてへ日本の安全が危ない。    

 

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