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ガーデニングの暦 月刊「税理」の「税理士の休日」欄に寄稿した文章です。 私には暦が二つある。職業会計人としての決算や申告など業務の暦と花を中心にしたガーデニングの暦である。ここではガーデニングの暦を少しだけご案内しよう。 種苗会社から送られてくるカタログを見て次の季節に播く花の種を選び、適時に播種して苗を育て咲かせる。ただこれの繰り返しではあるが使うエネルギーは膨大なものである。 春は新聞やテレビの気象情報に注意を払い、気温の推移を見て種を播く。うまく発芽するか心配な日々を送る。発芽しても一晩で全滅することもある。天敵はナメクジである。彼らはなぜか発芽したばかりの幼苗を鋭く感知し、夜の闇に乗じて「ぺろり」と食べ尽くしてしまう憎っくき敵である。 ナメクジ駆除剤は必需品である。 季節を問わず育苗期の長雨は、生育に悪い影響を与える、根の発育不良である。水分が多ければ根は発達しないのである。また根が腐る病気にもかかる。屋根のあるスペースは洗濯物干場となるので女房のご協力を仰がねばならない。 夏は水やり、盛夏には早朝から起き出して作業をする。夕方になれば植木鉢はカラカラに乾き、さわると熱いほどである。当然、散水道具は必需品となる。また、素敵な植木鉢も暑さ対策と称した必需品になる。 夏は花にも大変厳しい季節であるが8月も下旬になると嬉しいことがある、パンジーやビオラの種を播くのだ。朝から用具の殺菌や洗浄を行い午後から播種する。播き終えた種は室温を25℃程度に保って約5時間置く、こうすると屋外の気温が相当高くてもうまく発芽するのだ。夕食が始まる頃までクーラーの効いた一室は立入禁止となる。 敵はナメクジだけではない、花も生き物、病気に冒されることもある。次々と倒れていく苗を見るのは本当に悲しいものだ。次の必需品は殺菌剤や殺虫剤だ。病変を見つけたら即刻薬剤散布を行う。何種類もある薬剤から選んで散布する。しかし、病名や原因がわからないこともある。その時は手元にある薬剤をあれこれ水に溶かし、五種混合などと称して散布することになる。花の病原菌も薬剤に対する耐性を持つのだ。こんな使い方は感心しないが背に腹は代えられぬ。このとがめか、昨年の夏に播いたパンジーとビオラは半数以上がだめになってしまった。移植する土に古い土を混ぜたのが原因だった。新しい清潔な園芸用土は絶対必要だ、今年から必需品に加えよう。 花が咲いても安心できない、幾多の苦難を乗り越えても、まだ油断はできないのだ。家に帰ると玄関に、なんと丹精した花が活けられているではないか。切り花にされたのだ。この災難を避けるため、できるだけ小さくて可憐な花を育てよう。最後の敵は女房だ!しかし、数々の必需品を調達し花を無事育てるにはこの敵のお許しがいる。このため切り花用の種も少しは買わねばならない。たまには家族サービス用の暦も見なければならないのである。 以上は、月刊「税理」(ぎょうせい刊)2003年2月号「税理士の休日」欄に寄稿した文章です。
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